橋梁新聞の人気コーナー「はしわたし」に、当社社長の若林が登場。かつての大規模な橋の伸縮装置施工での苦労と経験が、今日の成功に繋がっていることや、伸縮装置や土木の業界におけるリーダーシップ、覚悟に迫っています。ぜひご一読ください。


橋梁新聞 2024年1月1日版

『隙間』を繋ぐ

株式会社クリテック工業  代表取締役社長 若林勇二

平成8年に設立された同社。16年に入社し19年に代表取締役に就く。同社の「ハイブリッドジョイント」はゴムと鋼板をプレス加硫接着することで止水性を向上、後発ながら地道な活動で実績を積み上げてきた。
先代社長の父が開発し世に送り出した製品を、様々な現場に対応できるようラインナップを増やし、育て上げた。「他社が手を出さない難度の高い工事にこそ進んで手を挙げてきました」。技術の強みは伸縮量が20~600㍉まで対応できること。「ビーム型、あるいは大型の伸縮装置のような難しい取替工事にも対応できます。とはいえ協力会社にはずいぶん助けられてきました」と苦笑いだ。

かつて、しまなみ海道の大三島橋でのビーム型伸縮装置の撤去工は、諸条件から当日の朝に規制をかけ翌日の夜明けまでには規制を解かなければならなかった。「これには協力会社の技術者も呆れたようでした」。たった20時間程度、それはさすがに無理と、躊躇する彼らを説得、現場が動き出した。製品を信じ、自分を信じてくれた彼らに感謝し、現場の先頭に立った。この約20時間の大仕事は、その後、様々な困難な現場を経験しても、なお記憶に新しいという。

明治大学で法律を学び土木とは無縁の業界で働いていた。父からの入社の打診は想定外だったという。しかし、開発から営業、施工まで自らこなす先代とはまた違った経営もできると思い立ち、飛び込んだ。「ジョイントは橋梁の中でもニッチな部位、必ずしも皆がそこに詳しいわけではない」と『伸縮装置Navi』を立ち上げた。自社製品に限らず競合他社製品も掲載。必要な情報を入力するだけで適切な製品を選択できる「伸縮装置自動選定ツール」や、多くの伸縮装置の基礎知識、用語集などを掲載。伸縮装置の全てが分かる情報サイトとした。ニッチだからこそ、その『隙間』を繋げたいと業界に一石を投じる覚悟だ。神奈川県出身。53歳。