皆様こんにちは!
今年の4月に入社した新人の髙田です!
私が株式会社クリテック工業に入社してから4か月が経ちました。
まだまだ未熟ではありますが、この4か月で「これはマスターできた!」と思えるものがあります。
それは伸縮装置の選定計算です。
当社のホームページの『よくあるご質問』の中にも、選定フローについての質問があります。それだけ気になっている方も多い項目かと思います。
そのため、今回は選定フロー(選定計算)について、少し細かく説明させていただきます。
≪伸縮装置選定フロー(選定計算)≫ ※NEXCO・都市高速以外
「伸縮装置」と一言でいっても、その種類は形状・素材・機能の面からみて多種多様です。
どれも同じに見えるかもしれませんが、橋の保全や機能の面からも、橋に最も合った伸縮装置を選ばないといけません。
ではどうやって橋に合った伸縮装置を選ぶのか……。選ぶ際、見るべき点は、【伸縮量】と【標準遊間量】(標準気温時の遊間量)の2点です。
【標準遊間量】は多くの場合図面の『側面図』、『平面図』、『位置図』等に記載されています。
そのため、図面を参照すればお分かりになるかと思います。
【伸縮量】はある計算から求めることができます。
では『ある計算』とは?
それでは、私が普段行っている手順通りに『ある計算』……「伸縮装置選定計算」についてご説明いたします。
選定計算には3つの情報が必要になります。
具体的には、
①まずその工事が新設工事か、補修工事か把握すること。
②次に『断面図』の「主桁」の形状を参照し、橋の種類は鋼橋かPC橋(RC橋)かを判断すること。
③そして現場地域から、寒冷地か普通地域かを判断することです。
※寒冷地扱いとなるのは、かつては北海道だけだったのですが、現在はそれに加えて東北地方、また場合によっては新潟県や長野県、その他北陸地方も寒冷地扱いとなることがあります。
この3つの情報は、後で計算を行う際の判断基準となります。
ここでは『鋼橋・補修工事・普通地域』の橋梁を例に考えてみましょう。
さぁ、いよいよ計算に突入です。
図面から【伸縮桁長】を求めます。
【伸縮桁長】は、「桁長」と「支承」の種類から求めることができます。
例えばA1部分が「固定支承」(Fix)、A2部分が「可動支承」(Move)だった場合、伸縮によって発生する力が、「可動支承」であるA2にかかってきます。
つまり桁長がXmだった場合、固定支承であるA1は伸縮桁長0m、可動支承であるA2は伸縮桁長Xmとなります。
ここで【伸縮桁長】に、温度変化による係数をかけます。
この係数は、鋼橋かPC橋か、また寒冷地か普通地域かによって変わります。
今回は『鋼橋・普通地域』なので、『鋼橋・普通地域』の係数をかけます。
(ちなみに……新設工事か補修工事かの情報は、鋼橋においては選定に影響しない情報なので、今回は使いません。)
あとは余裕量を足して【伸縮量】の計算は完了です。
固定支承の場合支承は動きませんが、活荷重から生じるたわみによる伸縮や、橋の規模・施工誤差等の実状を考慮に入れて、余裕量のみ取ります。
残るは計算した【伸縮量】と、図面の【標準遊間量】から、最も適した製品を選定するだけです。
例えば伸縮量が25mm、遊間が100mmだった場合、当社製品だと≪S-30≫タイプがぴったり!という具合になります。
以上が伸縮装置選定計算でしたが……、
いかがでしょう? 結構難しく感じられたでしょうか?
私も最初は難しく感じました。
しかし、今では施工箇所一か所あたり、1分以内で選定を行うことができます!
同期の新入社員達も猛練習の末、皆一か所1分以内で出来るようになりました!
もし当社に伸縮装置関連でお手伝いできることがあれば、いつでもご用命ください。
もちろん、選定に関するお問い合わせも歓迎いたします!
その際は、今回ご紹介した選定計算を、詳細に記載した≪選定書≫を作成させていただきます。
それではまた、次の機会にお目にかかりましょう!
髙田