2025年2月15日発刊の「橋梁通信」に、
「VRで除雪オペレーター育成 クリテック工業と大高建設」の記事を掲載いただきました。
記事の内容をブログにも掲載いたします。ぜひご覧ください。

VRで除雪オペレーター育成 クリテック工業と大高建設
伸縮装置メーカー・クリテック工業(東京都港区、若林勇二社長)と道路の除雪作業も手掛ける大高建設(富山県黒部市、大橋聡司社長)は、「VR(仮想空間)を活用した除雪オペレーター育成用シミュレーター」を共同開発した。伸縮装置上の除雪には高い技術が求められることから、橋梁をモデルにしたリアルな3D空間での除雪体験を可能にするものだ。
共同開発のきっかけは、大高建設DX事業部の山本健太郎さんがクリテック工業管理部の水野日三美さんとX(旧ツイッター)で交流し、伸縮装置上の除雪で相談を持ち掛けたこと。
豪雪地帯では除雪が交通インフラ維持の要だが、オペレーターから「伸縮装置上の除雪は特に神経を使う」という声が出ていた。除雪車のショベルが当たって伸縮装置が損傷したり、車両の急停止でオペレーターが負傷したりする恐れもあるからだ。
また、道路でもとりわけ橋梁の除雪は高所や悪天候下、限られた時間帯での作業が必要で、オペレーターには豊富な経験と高度な技能が求められるが、現場での訓練には安全対策や時間・コストが課題となることもある。
そこで浮かんだのが、リアルな仮想空間での訓練。シミュレーターは大高建設が制作し、クリテック工業は除雪誘導板を設けた伸縮装置の画像を提供すると共に、メタバース上に高精度の伸縮装置部位を再現するための監修を行った。
特徴は、次の4点だ。
① 高精細なVR環境=橋梁をモデルにしたリアルな3D空間で、除雪車両の操作や作業手順を忠実に再現。天候条件、視界不良、路面状況の変化なども再現した。
② 安全・効率的な訓練=伸縮装置にショベルが当たるとオペレーターに衝撃が伝わるなど、実務さながらの臨場感と緊張感を体験できる一方で、実地訓練に伴う安全リスクや交通規制の手間を削減。短時間で集中的な技能向上が見込める。
③多角的な教育支援=VR内での操作ログを活用し、オペレーターごとに課題や改善策を可視化。計画的な人材育成と技能継承の可能性を見据えた開発となっている。
④伸縮装置の学習=VR内に3つのボード(伸縮装置とは何か、伸縮装置はどこにあるか、伸縮装置の除雪の安全対策)を設置。シミュレーション前後に伸縮装置を学べるようにした。
2社は今後、他の事業者へ、また採用活動など通して展開し、そのフィードバックを元に機能の改善・拡張を進め、インフラ維持管理のDX促進と人材育成に貢献したいという。