去る9月2~6日、令和6年度土木学会全国大会が仙台市の東北大学などで開催され、その中で弊社の吉田好孝技術顧問が講演会を行いました。
講演会の模様と発表内容が、橋梁通信9月15日版で紹介されました。弊社の伸縮装置についての研究発表です。ぜひご覧ください。


クリテック工業の伸縮装置
供用50年の載荷試験に耐えた
土木学会全国大会の年次技術講演会で、クリテック工業(東京都港区、若林勇二社長)の吉田好孝・技術顧問は、「縦鋼板を用いた鋼・コンクリート複合型伸縮装置の構造と疲労耐久性」を発表した。
試験機関の日本建設機械施工協会・施工技術総合研究所(静岡県富士市)に委託した研究の成果で、600万回(供用50年相当)の載荷試験に耐えた。
研究の端緒は、伸縮装置は橋梁の端部に設置され、通行車両の輪荷重を直接受けるのに、橋梁本体の部材ではないため、耐荷力や耐久性には余り関心が払われていないとの認識があったことだ。
そこで、従来の鋼製くし型構造と異なり、鋼材を鉛直面に配置し、輪荷重の載荷部分にコンクリートを適用した複合型伸縮装置について疲労試験を行った。
試験の対象は許容伸縮量175㎜クラスで、需要の多い中規模の形式。供試体は鋼板とアンカー鉄筋を工場内でスタッド溶接し、試験地の屋外ヤードでコンクリートを打設した。
載荷想定は、T荷重(車両総重量25t=245kN=の大型トラック相当)の後輪部分(100kN)。
繰り返し回数は供用期間30年として360万回とし、同50年の600万回を目標とした。
所定の能力を備えた同研究所の試験機で調べた結果、600万回終了時でも、鋼板(くし型根本上部)の応力度は安定。同様にアンカー鉄筋(上段)の応力度も安定しており、性能を保持していることが分かった。
試験の後、供試体をはつって内部を確認したが、懸念すべきひび割れ、鋼板とアンカー鉄筋の変形、スタッド溶接部の異常などは全く認められなかったという。
同社は今後、より合理的で耐久性のある構造を追求し、斜橋も含めた様々な現地条件に適合する伸縮装置を目指すことにしている。「丈夫で安価、かつ施工性に優れた伸縮装置」が目標だ。