「建設工法NETIS(2024年版)」にて、『道路橋用ハイブリッドジョイント3LⅡAタイプ』を取り上げて頂きました!

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ハイブリッドジョイント 3LⅡAタイプ 製品及び事例紹介
ハイブリッドジョイント 3LⅡAタイプ 製品詳細情報

道路橋用ハイブリッドジョイント3LⅡAタイプ

厳しい条件下にも対応可能な道路橋用伸縮装置

第三者機関による止水性と耐久性50年を実証

 橋梁用伸縮装置は、橋と橋の間に設置することでその隙間(遊間)を埋め、車両の通行や地震などによる変形を吸収し、気温変化による橋梁の伸縮に対応し、車両や歩行者の安全性や快適性を高めるための装置である。

 伸縮装置は橋と橋の間に設置されているため、一定の防水効果はあるが、劣化や施工不良から漏水を発生させることがある。漏水の結果、橋桁の下で橋を支える支承に水が到達することで腐食が発生し、橋梁の寿命を縮めることになる。

 このようなことから伸縮装置には高い止水性と耐久性が求められる。また伸縮装置の選定には止水性と耐久性の他に、静音性、施工性、メンテナンス性、経済性などを含む総合的な評価が必要となる。

 橋梁用伸縮装置の総合メーカー、クリテック工業が開発した「ハイブリッドジョイント3LⅡA タイプ」は、ゴムと鋼材の複合技術を用いた非排水型の伸縮装置であり、鋼板とゴムをプレス加硫接着することで非常に高い止水性を実現。第三者機関の止水性能試験・実物大疲労試験により、50年相当の止水性・疲労耐久性が実証されている。

大伸縮量・広遊間に対応

 「ハイブリッドジョイント3LⅡAタイプ」は、荷重支持部とアンカープレート部が縦型一体構造となっているため耐久性が高く、金属疲労による損傷はほぼない。鋼板を縦に使用することで露出部が少なくなり、走行時の衝撃が小さいことから、静音制にも優れている。

 また目視での維持管理ができることもメリットだ。止水材を接続容易なファスナー式ジャバラ状ゴムシートにしたことで、任意のブロック箇所での分割施工が可能になり、小型機械で対応でき、工期の短縮や、通行規制をできるだけ少なくすることができる。また寒冷地での圧雪対策も可能である。伸縮量は150mm~600mm(NEXCO仕様は350mm)と大伸縮量・広遊間に対応しており、国土交通省をはじめ、高速道路運営会社の工事で多くの実績がある。

 インフラ長寿命化の実現に向け、改修工事においても、より高度化した技術が求められている。このような状況のなかでも「ハイブリッドジョイント3LⅡAタイプ」は要求性能を満たす工法として今後も評価されていくであろう。

 同社の若林勇二社長は「PC 橋や鋼橋など、すべての種類の橋に対応でき、鋼製フィンガージョイントやビーム型ジョイントに比べて、コンパクトで施工性が高いことから、新設工事や補修工事における伸縮装置取り替えなど、実績も増えています」と語っている。

高速道路での取り替え工事

 2022年に中日本高速道路株式会社金沢支社が実施した北陸自動車道の飛越大橋での伸縮装置の取り替え工事で、NEXCO規格の「ハイブリッドジョイント3LⅡタイプ」が採用された。元請の中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸株式会社のもと、実際に作業が行えるのは1日6時間程度となり、施工時間や工程計画上の工夫が必要になった。そこで約10mの施工延長を3分割して工事を実施し、9日で工事を完了させた。山間部での夜間工事にはさまざまな制約があったが、短時間で施工をするために新たな機械を導入するなど工夫をした。

 また西日本高速道路株式会社関西支社が実施した2023年11月の京滋バイパスの舗装補修工事、伸縮装置取替工事および道路保全工事では、土日を除く10夜間の通行規制が行われ、工事が実施された。宇治川大橋では、設置されていた伸縮装置の劣化や損傷が確認され、橋梁本体への影響を抑えるために「ハイブリッドジョイント3LⅡタイプ」への取り替え工事が行われた。 

 京都高速道路事務所では、既設のビーム型ジョイントの撤去や取り替え工事を円滑に進めるため、工事関係者と事前にオンラインを含めた打ち合わせを重ね、綿密な施工計画を立てていった。伸縮装置のエキスパートとしてクリテック工業は、設計から施工管理までを担い、高い評価を得た。

 若林社長は「道路や橋の安全を守ることが当社の社会的な使命です。特に取り替え工事では、夜間の限られた時間の中で施工を確実に完了させるために高い技術力や経験が必要になります。伸縮装置の専門メーカーとしての技術力に加え、設計から施工までの一貫した体制、現場のノウハウや創意工夫により、これからも社会に貢献していきます」と話している。