愛媛県余戸南(ようごみなみ)地区での大規模な施工管理に、約2ヶ月の長期に渡り携った藤田さん長期工事の苦労、そして大型伸縮装置施工の工夫をインタビューしました。 ぜひご一読ください。

藤田 憲吾(工務部所属/令和3年4月入社)

Q1. 余戸南地区の工事とは?

新しくできた松山外環状道路空港線の1区間に伸縮装置を10ヶ所施工しました。10ヶ所の内、9ヶ所に当社の伸縮装置「ハイブリッドジョイント」を施工しました。伸縮装置のタイプ別のおよその長さは、縦目地のHSタイプを142m、歯型のLLタイプが50m、大型の3LⅡAタイプが19m、合計211m。とても長いものでした。

余戸南地区 当社伸縮装置施工マップ

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工期は令和5年10月下旬から12月末まででした。これほどの長期はめったに無いですね。

この道路は国道でバイパス、新設工事です。補修工事ではコンクリートカッター車を用いて、後打ちコンクリートと舗装の境界部を切断。既設伸縮装置を撤去し、箱抜き部を設けます。新設工事の場合は、先付工法と後付工法があり(工法について詳しくは伸縮装置Naviへ)、本工事は後付工法でした。そのため、伸縮装置の施工箇所の舗装にカッターを入れて舗装を撤去。次に鉄板やその下にある土嚢や木材等を撤去。箱抜き部を清掃して伸縮装置を設置するという流れになります。

スケジュールは、例えばある日は撤去を何mして、次の日は撤去した部分に伸縮装置を設置してというのを繰り返しやっていました。5mの短い箇所なら撤去と設置を1日でできますが、142mの箇所は2分割で施工したので、71mを3日かけてずっと撤去して、その後3日かけて設置してという大変なものでした。

Q2. 3LⅡAタイプは初めてだったとか

「3LⅡA-300」設置

1人で施工管理するのは初めてでした。大型の3LⅡAタイプは、ユニック車のクレーンでは上げられないので、ラフタークレーンを使って3LⅡAタイプを吊り上げます。その際の高さの割り出し方が歯型の伸縮装置とは全然違うので、その時は先輩の山嵜さんに来てもらい、教えてもらいながら進めていきました。

Q3. 今回の道路や工事に特徴は?

大きい橋なので、大型の伸縮装置が多いのが特長でした。

あと、後打ちコンクリートは通常は白に近いグレーなのですが、今回は表面を黒にしてほしいと要望がありました。これは四国地方で多いそうです。コンクリートを打設して、コンクリートの表面の浮き上がってきた水分に黒粉を混ぜてコンクリートを黒くしていきました。

錆止めにも気を使いました。伸縮装置を設置したら鉄筋がむき出しになります。今回、1箇所が設置まで終わると、もう1箇所の設置まで終わるまで、同じ日に2箇所のコンクリートを打設する工程を組んでいました。鉄筋むき出しの状態の時間が長い時があったので、全部の鉄筋に錆止めを塗布していきました。

タフコンカラー黒塗り込み
錆止めスプレー塗布

Q4. 今回の工事で大変だったことは?

コンクリート斫り工 飛散養生テント
防音対策を施した斫り工

まず、施工管理は私1人だったので、肉体的にも精神的にも大変でした(笑)。

それから、現場周辺の騒音対策のため、作業音が大きいエアーブレーカーを使えず、低騒音の電動式ブレーカーで舗装を撤去しました。電動式ブレーカーはエアーブレーカーに比べパワーが弱いため、30分かからない工事が2~3時間かかりました。そのため工期が伸びましたが、周辺住民の方々の生活を第一に考えて工事を進めました。コンクリート斫り時の飛散養生のためにテントを張り、そのテントを防音シートで囲ったりと防音対策を施しました。

Q5. 特に見てほしいという所はどこですか? 

縦目地の142mの箇所です。本件は工期短縮を図るために142mを2分割した71mの伸縮装置を2つ設置しました。伸縮装置は通常、71mを一気に設置なんてしないんです。長くて20m、30mに区切って設置していくものなんです。伸縮装置をまっすぐ設置するためには、短い物を次々につなげていった方が確実に設置できるのです。

「HS-20」設置
「HS-20」は計142m

今回は71mを一気に斫って、71mの伸縮装置を設置したのですが、その71mの伸縮装置をまっすぐに設置するのが難しい。図面通りカッターで箱抜きを作るんですが、職人さんが人力でやるので、まっすぐカッターができるわけじゃない。それに橋の遊間も142mがまっすぐというわけではない。そういった中で、伸縮装置を設置して打設した後に、施工班が目で見てまっすぐになるようにきちんと施工してくれた。施工班が見極めて「ここは5㎜ずらした方がいい」「ここの高さは調整した方がつり合いが丁度いいのではないか」等々、事細かに施工してくれた。これは施工班に面倒をかけたが、そんなめったにやらない施工をやり遂げた箇所をぜひ見てほしいです。

「HS-20」施工完了

Q6. 愛媛県の出身だそうですね

現場の近くではなく、高速で1時間ぐらいの所なんです。休みの日は実家に帰ったりもしました。久しぶりに家庭の味を味わったり、工事の苦労話をしたりしました。

1月下旬に再び現場に行きます。1箇所残っている伸縮装置の施工をしてきます。開通イベントが2月12日に行われるそうなので、完璧な道路に仕上げて、家族に施工した伸縮装置を見てほしいですね。

Q7. 今回の経験を経て、収穫や学んだことは? そして新たな目標は? 

段取りがすべてだと思いました。事前の段取りと、現場に入ってからの確認。あとは、次の日のための準備。1週間後にはこれがどうなっているか。1ヶ月後にはこの数量どうなっているか、どこまで終わっているか、工程はこれでいいのか、短縮できないか、といった検討と確認の重要性がよくわかりました。次に同じような現場があったら、同じ轍は踏まないと思います。

今回は松山外環状道路空港線の1区画だけでした。まだ道路の建設は続くので、今回の施工の続きを営業から関わって受注したいです。今回の区画から先の松山空港までを全部当社の伸縮装置にしたいですね。


藤田さん、長期に渡る大規模な工事、本当におつかれさまでした。
松山外環状道路空港線の開通(令和6年2月24日)が楽しみですね。
伸縮装置の採用や施工をご検討の皆様、資料請求やお見積りなど、お気軽にお問い合わせください。
お客様のために迅速に対応してまいります。


令和6年2月 管理部 水野、西里