この度、クリテック工業は大高建設株式会社様(本社:富山県黒部市、代表取締役社長:大橋 聡司、以下大高建設様)の「仮想空間を活用した除雪オペレーター育成用シミュレーター」の開発に協力し、【大高建設様×クリテック工業】の協業により、除雪シミュレーターを実現しました。
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開発の背景
大高建設様はメタバースで土木工事現場を再現して学生に現場を体験してもらうなど、建設DXを推進している建設会社です。
SNSも積極的に活用しており、X(旧Twitter)で広報担当の山本様と知り合い、交流が始まりました。
そんな中、2023年12月に山本様から、「除雪車のオペレーターが伸縮装置の除雪に気を遣うと言っている。伸縮装置の除雪に特化した汎用除雪シミュレーションを実現できないか」という話をいただいたのがきっかけでした。
除雪作業の課題
豪雪地帯や降雪頻度の高い地域ならではの課題がありました。
- 伸縮装置が設置されている箇所に除雪車のショベルが当たると、伸縮装置が破損したり、除雪車が急停止してオペレーターがけがをしてしまうという危険性
- 橋梁上での除雪作業など、天候や作業時間帯に左右され、実務経験を積むことが困難
- オペレーターには豊富な経験と高度な技能が求められるが、一方で実際の現場で訓練を行う際には、安全対策や時間・コストの確保などが困難
目指したこと
- 伸縮装置や路肩の除雪を中心にシミュレーション環境を作って課題を解決したい
- 技術者や学生の教育につなげていく
- SNSを通じてメーカーと地方中小建設業のタッグで様々な波及をさせたい
両社の思いが一致して協業がスタート。除雪シミュレーターの開発が始まりました。
当社の役割
- メタバース上に伸縮装置を再現するための監修
- 除雪誘導板を設けた伸縮装置の画像提供
リアルなVR環境の構築に協力しました。
除雪シミュレーター 完成
除雪シミュレーターは2024年12月に完成しました。
この除雪シミュレーターには4つの特長があります。
- リアルなVR環境を構築
橋梁をモデルにしたリアルな3D空間を構築。除雪車両の操作や作業手順はもちろん、天候条件・視界不良・路面状況の変化までも再現しました。 - 臨場感と緊張感を体験可能
伸縮装置にショベルが当たるとオペレーターに衝撃が伝わるなど、実務さながらの臨場感と緊張感を体験できます。一方で、実地訓練に伴う安全リスクや交通規制の手間を削減。短時間で集中的な技能向上が見込めます。 - 人材育成と技能継承を見据えた開発
VR内での操作ログを活用し、オペレーターごとに課題点や改善策を可視化できます。計画的な人材育成と技能継承の可能性を見据えて開発しました。 - 伸縮装置を学習できる
VR内に、3つのボード(①伸縮装置とは何か ②伸縮装置はどこにあるか ③伸縮装置の除雪の安全対策)を設置。シミュレーション前後に伸縮装置について学習できるポイントを設けています。
イベントで子ども達が体験
2024年12月21日、富山産業展示館 テクノホールで「こどもシゴト博 2024 in 富山」が開催されました。大高建設様も出展し、除雪シミュレーターが公開されました。
ブースには約400名の親子が来場され、子ども達が除雪シミュレーターを体験。バーチャル空間で除雪車のオペレーターになりきって楽しんでいました。
今後の展開
この除雪シミュレーターから、以下のような未来が期待されています。
- 子ども達の体験が将来の夢になる
- 高校や大学の学生さんの体験が次代の担い手へつながる
- 地域建設業におけるインフラ維持管理業界全体のDX促進および人材育成につながる
当社としては、VR内でアバターを通して除雪シミュレーターの体験者に伸縮装置について解説したり、VRの訪問者に当社についても説明することが可能です。
当社のPRや採用にもつながる可能性もあります。多方面に広報して、除雪シミュレーターを周知していきたいと思っています。今後の活動にご注目ください。
令和6年12月 管理部 水野